by ワンダリ美奈子
「神である主の霊が、わたしの上にある。貧しい人に良い知らせを伝え、心の傷ついた者を癒すため、主はわたしに油を注ぎ、わたしを遣わされた。捕われ人には解放を、囚人には釈放を告げ、主の恵みの年、われらの神の復讐の日を告げ、すべての嘆き悲しむ者を慰めるために。シオンの悲しむ者たちに、灰の代わりに頭の飾りを、嘆きの代わりに喜びの油を、憂いの心の代わりに賛美の外套を着けさせるために。彼らは、義の樫の木、栄光を現わす、主の植木と呼ばれる。彼らは昔の廃墟を建て直し、かつての荒れ跡を復興し、廃墟の町々、代々の荒れ跡を一新する。」(イザヤ61:1-4)
3~4年前のことです。私達は、国々のとりなしの働きで有名な故ヘンリー・グルーバー師と昼食をご一緒していました。ヘンリー師は「Prayer Walker(祈りの歩行者)」として、世界中を歩き、とりなされた方です。日本にも、数えきれないほど来てくださいました。実に大勢の方々がヘンリー師の働きをご存知です。
佐野にも何度も来られて、祈りの歩行やとりなしについて、教えてくださいました。それをきっかけに、佐野の教会では、長期間に渡る戦略的な地域的とりなしが行われ、地域全体に変化がもたらされ、新しい神のプロジェクトが生み出されていきました。
ヘンリー師は、沖縄にも毎年のように来られ、多くの教会を訪れ、各教会のリーダーや信徒の方々と共に、数えきれないほど多くの地域的な霊的要塞のある場所を「歩き」、とりなされました。それらの地は偶像礼拝、魔術、占い、不品行、戦争、殺人などで汚されてきた場所です。彼の働きとその教えを通して、多くの牧師やクリスチャン達が、それらの場所でとりなし、罪を悔い改め、神の国の訪れを祈り、預言的な神の計画を宣言し、解き放ってきました。
3-4年前、私達夫婦と昼食を取っていたその時、ヘンリー師はその生涯の終わりにさしかかっておられ、米国の家族の大反対にも関わらず、命をかけて日本へ来てくださっていました。
私は尋ねました。
「なぜ、日本に繰り返し来られるのですか?とりなしにおいて、まだ残された領域があるのでしょうか?」
その時にヘンリー師が言われた言葉を、今でもハッキリ覚えています。
「私はこれまでの歴史で起こってきたリバイバルについて、研究してきました。そして、わかったのは、その地が祈りの歩行や地域的なとりなしによって耕されていればいるほど、リバイバルが訪れたときのインパクトが大きく、長く続くのです。」
「反対に、その土地が祈りによって十分耕されていなければ、リバイバルが来ても、何らかの問題が立ち上がってくるために、そのインパクトが短く、すぐに消えてしまう傾向にある。」
彼の言葉は深く私の心に残りました。
とりなしの働きに深く携わる者は、日本全体が、緻密な計算によって太陽神やその他の神々と呼ばれるものに捧げられていることを知っています。まるで日本全体が、くもの巣によって覆われているかのように、山々や建造物が配置されているのです。その結果、地にもたらされた呪いを打ち破り、日本に神の支配をもたらすのは、神の息子・娘である私達の役割なのです。
「御霊ご自身が、私たちの霊とともに、私たちが神の子どもであることを証してくださいます。子どもであるなら、相続人でもあります。…被造物は切実な思いで、神の子どもたちが現れるのを待ち望んでいるのです。…被造物自体も、滅びの束縛から解放され、神の子どもたちの栄光の自由にあずかります。」(ローマ8:16-17,19, 21)
私が日本に関するそのような霊的地図をお見せした時、ヘンリー師は、その地図をじっと見ながら、このように言われました。
「私はこれらの山々のほとんどに登り、とりなしてきました。」
それが、ヘンリー師にお会いした最後となりました。
彼のとりなしやティーチングを通して、日本全国でどれほど多くのクリスチャン達が、自分達の地域のために歩き、とりなし始めたか、計り知れません。特に沖縄では、現在に至るまで、実に多くの地域的なとりなしが行われてきました。それは今でも続いています。それらのとりなしによって、数々の大きな変革がもたらされてきました。
私自身が経験し、目撃した事柄の一つは、売春地帯の変革です。
沖縄における主要な売春地帯には、琉球王朝時代から続いているものもあれば、太平洋戦争後に形成されたものもあります。その中には、警察の手入れがなく、日本において、これほどの売春が許されているということがあり得るだろうかと思うほど、白昼から大っぴらに売春が行われていた場所もありました。その地域では、違法な中絶行為、自殺、虐待など、他の様々な罪も重ねられていました。太平洋戦争以降、ずっとそこで生きてきた女性達もいます。十代の女の子達もいます。そして、沖縄県内外から、米軍から、多くの人々が訪れる。そのような場所でした。
十数年前、私達は、数名の女性ミニスターやとりなし手達から成るグループで、その場所や周辺のいくつかの鍵となるスポットにおいて集中的なとりなしを行いました。ちょうどその頃、かつてその地域で売春に携わっていた女性が救われたのも、絶妙な神のタイミングでした。どんなに調査しても分からない様々な内部情報を得た上で、とりなすことができたからです。
私達は売春地帯となっていた丘や違法中絶が行われていた病院、学校、その地域にあるいくつかの偶像礼拝の拝所や城址で祈りました。その土地で犯された罪が赦され、イエスの十字架の血潮によって洗い清められ、神の統治がその地域一帯にもたらされることを祈ったのです。
とりなし後、しばらく経った頃、その地域に警察の手入れが入ったという知らせを耳にしました。太平洋戦争以降、ずっと無法地帯だったのに。そして、自治体がその売春地域の解体に向けて動き始めました。今、その場所は、かつての面影がわずかに残るだけとなっています。
その場所とは別の場所になりますが、私達の住んでいる地域のすぐ傍にも、元赤線地帯があります。数年前まで、その辺を微妙な時間にブラブラ歩いていると、警察に尋問されるような場所でした。今でも「不法なビジネスを目撃したら、警察に連絡してください」という看板が貼ってあります。
その地域にある学校は、荒れ果てていることで有名でした。小中学校の生徒指導担当教員が何人も心を病んで辞めていった。そういう学校でした。
そこでもやはり、十数年前頃から、地域の教会やクリスチャンの方々が、祈りの歩行やとりなしを始めました。もしかしたら、それ以前からとりなしてこられた方々もおられたかもしれません。私達夫婦も何度も歩いてとりなしに赴きました。現在、その場所では、解体が進んでいます。かつて、売春のために用いられていた建物が次々と撤去されつつあるのです。
学校でも祈りました。その地域は、太平洋戦争における激戦地でもあったので、そのために学校の敷地で祈る時も持ちました。その時、とても不思議なことに、私達のとりなし計画を聞きつけた米軍の若いクリスチャン兵士達が突然参加してくれたのです。その場所に集まったのは、沖縄出身者、本土出身者、中華系の背景を持つ者、米国人、スイス人。私達はかつて、血が流されたその場所で、互いの罪を告白し、赦し合い、イエスの名によってその土地がきよめられ、神の目的のために用いられるように祈ったのです。
その地域で、そのように祈ったのは、私達だけではありません。多くのクリスチャン達が歩き、祈り、日常の生活や仕事に携わりながら、神の国が来るようにと願い続けました。あるクリスチャンの人々は教員として学校に勤めました。
その結果、数年前から、学校が変化してきています。教員や保護者の連携が、それまでにはなかったレベルで起こり始めました。スクールカウンセリングのプログラムがよい形で導入され始めました。部活動が活発になっていきました。神は祈りを聴かれるのです。
神の息子・娘達の役割は、この地上に神の統治をもたらすことです。とりなしの祈りは、その一つの方法です。最も強力な方法の一つだと言えるでしょう。たとえどんな暗闇が存在していたとしても、神の息子・娘達が、その土地の罪を告白し、イエスの血潮によって、その土地がきよめられることを宣言し、御国の到来を告げ知らせる時、暗闇は去り、真の神の統治がもたらされるのです。そして、父の御心にある多くの新しい計画が生み出されていくのです。実を結ばない不毛な土地が、豊かな実を結ぶ地へと変えられていくのです。
今、日本において、私達は確かに、神から与えられた地を「所有する」段階にはいっていると信じます。そして、その土地から得られる収穫を実際に手にする時がきたのです。
「土地」というのは、領域のことです。神から与えられた領域を自分達のものとして「所有」し、治めていく時です。
神が、皆さんに与えている領域はどこでしょうか?家庭、職場、学校、地域、国、国々…。ある人々にとっては、医療界、教育界、政界などを意味するかもしれません。イエスを信じる者は皆、何らかの領域に遣わされているのです。
もし、まだ、自分が普段関わりを持っている場所(住まい、学校、職場、地域など)や領域のために祈り、主の目的のためにその場所や領域を捧げたことがないなら、ぜひ下記の祈りを実践してみてください。この祈りは、自分の家や土地のために祈る時も、地域や国のために祈る時も、適用することができます。
<実践:祈りと行動>
1.神から与えられた土地/領域に神の支配をもたらす祈り
1) 自分の家/土地/学校/職場など、日常的に関わりのある場所で祈りましょう。
まず、その場所や領域で犯された罪を告白します。土地を汚す主要な罪は下記の四つです。①偶像礼拝、魔術、オカルト ②血を流す罪 ③性的不品行 ④契約を破る罪
その他、聖霊に尋ね求めながら、罪を告白し、それらの罪やその結果としての呪いが、イエスの血潮によって、洗い流されることを求めましょう。
2) イエスの使節として、その地に遣わされた者として、イエスの名によって、それらの罪に対して赦しを宣言します。その場所を神の目的のために捧げ、聖霊がその場所や領域を満たしてくださるよう求めましょう。
3)その場所はもう主のものとなったのですから、サタンや暗闇の軍勢がその場所で働くことをイエスの名によって禁じます。暗闇を追い出し、神の光が満ちることを宣言しましょう。
4)聖霊に訊ね求めながら、その土地/領域に対する新しい神の計画を預言的に宣言し、解き放ちましょう!
注)この実践では、自分の日常生活に関係のある場所でとりなしましょう。大きな要塞のある場所は、キリストの体の秩序の許で、適切なサポートや祈りのカバーリングを得ながらとりなす必要があります。
2.神の計画を「植え」、地を所有する。
祈ったら、収穫を期待して、次のステップへ進んでください。実際に収穫を刈り取るために行動を起こすのです。祈って、霊的な要塞が取り除かれた跡、新しい神の働きや計画を「植える」ということは重要です。そうして、土地/領域を「所有」していくことが大切なのです。その土地/領域を空っぽのままで、放置しておかないようにするのです。
地域や町などの広範囲な領域であれば、新しい始まりのために行動を起こすまでに、少し時間がかかるかもしれません。新しい神の計画が始まることを宣言し続けましょう。あなたではなく、他の人々が「植える」役割を担うかもしれません。そんな時も喜びましょう!それらの人々の働きを祈りやその他の支援によってサポートしましょう。その場所や領域で新しい神の計画がスタートすることを共に祝い、喜ぶのです。
「見よ。わたしは、きょう、あなたを諸国の民と王国の上に任命し、あるいは引き抜き、あるいは引き倒し、あるいは滅ぼし、あるいはこわし、あるいは建て、また植えさせる」(エレミヤ1:10)
この言葉は神が預言者エレミヤに語った言葉ですが、ここに記されていることを、神の息子・娘である私達は、霊的な領域で行なっていくのです。
もうかつてのように、「いくら祈ってもなかなか実りが得られない」時代は終わりました。
今こそ、積極的に祈り(耕し)、種を蒔き(イエスを宣べ伝える/新しい神のプロジェクトを開始する等)、収穫の実りを手にする時です。なかなか収穫を得られなかった時代のマインドセットを切り替え、期待を持って自分に与えられた領域に臨んでください。主が皆さんと共におられ、「さぁ、行きなさい!」と後押ししてくださっているからです。
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